富士通が自動データ消去機能を持つUSBメモリを開発

 かつてのフロッピーディスクの地位にとって代わった感のあるUSBメモリだが、紛失、置き忘れ、不正コピー、ウイルス感染などのセキュリティ問題がクローズアップされてきてもいる。そこで仮に紛失しても、データ内容が自動的に消去されるようなUSBメモリの技術が富士通で開発されたという。

富士通研究所、自動データ消去機能を実現した安全USBメモリを開発(CNET Japan)
CPU内蔵でデータを自動消去するUSBメモリ、富士通研究所が開発(INTERNET Watch)

 データの自動消去というと、思わずスパイ大作戦でおなじみのシーンを思い出してしまった。スパイへのミッション・インポッシブルな指令がテープで流れた後「なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る」(後の新シリーズではミニディスクに変わっていた)と言った後、テープから白煙を吹き上げるというものだった。


 さすがにUSBメモリが白煙を吹き上げはしないが、一定時間経過したり目的外のPCに挿されたりすると、ファイル内容が消去されるものであるという。どのタイミングで消去するようにするかのセキュリティポリシーを設定できるものだという。何やら自殺システムのようでちょっと怖いところもある。


 セキュリティ対策としては日常的なものというより、まさに水際、クリティカルな防衛システムである。重要なデータをUSBメモリやノートPCで処理するために持ち出さなければならないような場面である。それが日常的なことなのか、やむなく緊急的にそうせざるをえない場面なのかにもよるだろう。少なくとも日常的に使うことには向いていない気もする。それだけ重要なデータならば、まず日常的に危険にさらすことを避けるような方針を考えるべきだろう。


 気安く使うと、逆にUSBメモリを挿したままうっかり放置してしたら、ファイルが消されてしまったとか、間違って別のPCに挿したら消されたとかのトラブルにもなりかねない。使う以上はUSBメモリの内容もまた定期的にバックアップする必要があるわけだが、そのバックアップのしくみも作っておかなければならない。


 当初は手軽で便利だと思われていたUSBメモリだが、こうした技術が出てくること自体が、昨今の情報流出事件の影響に見られるように、だんだん危なくて使いにくいものになってきたことを意味しているのだろう。