IBMのSun買収話は立ち消えか?

 ITの世界に衝撃を与えたIBMのSun買収話が持ち上がってから、1ヶ月が過ぎた。そう容易には進まないだろうとは思えたが、ここにきてIBM側が関心をなくしたとの報道である。このまま立ち消えの話になるのか、それにしてもおかしな経緯ではある。 

「IBMはSunの買収に関心なし」CNBC報道(ITmedia)
IBM-Sunの買収交渉、破談の危機に?(4.6)

 当初はIBMの方が強引に買収話を持ちかけたのかと思いきや、Sunの方から身売り先を探しているような話だった。IBMがそれに乗り現金での買収を申し出たが、Sunがその額が安すぎると拒否した。Sunの株価は下がり続けており、買収話が持ち上がった途端に一時的に高騰はしたが、現状では妥当な買収額とも言えた。ところがSunが拒否したことから、IBMは関心をなくしたようである。


 IBMから一方的に持ちかけた話なら、それでSunは買収を免れて独立を守ったとなるところである。ところが拒否したはずのSunが、IBMに対して再び交渉の席に戻ることを期待しているのだという。まるで安っぽい恋愛話のようだ。


 何やら企業戦略というより、単にSun自身がIBMに高く売りつけようとしているだけのように見えてしまう。いったいSunの経営陣は何を意図しているのか、あるいは迷走しているのだろうか。自ら"For Sale"にするほど、資金面で困窮してきているのだろうか。そこにかつてのUNIXをリードしてきたSunの技術戦略の面影は何も見えない。経営者と株主らによる企業売買のゲームの話だけである。
 IBMMicrosoftYahoo!に仕掛けたような買収話ではなく、売り込んでこられたので腰を上げようとしたら、安すぎると文句を言われたようなものである。少なくとも経営面では、どうもかつてのSunのイメージではなくなったようだ。


 ではこのまま買収話が立ち消えになるかといえば、何とも言えない。ITの世界ではこれまでも、あっというまの企業の合併、吸収が起こりえたからである。それにしても、クラウドなどの大きな戦略を見据えた上での買収、合併話になっていないのが寂しいところである。