あっと驚くOracleのSun買収

 IBMがSun買収から撤退したかと思った途端に、OracleがSun買収に合意してしまった。やはりSunは自ら複数の企業に身売りを持ちかけていた。OracleがSunを買収して、今後はどうなっていくことか。

Oracle、Sunを買収(ITmedia)
OracleがSun買収でJavaとSolarisを獲得(ITmedia)
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Oracle to buy Sun in $7.4 billion deal(CNET News)
Oracle to Buy Sun(Yahoo!Finance)

 冷静に考えてみれば、OracleとSunはエンタープライズ市場では、ワークステーションとデータベースでパートナーの関係だったから、以前から合併話があったとしても不思議ではない。またJavaをベースにしたネットワークコンピュータ構想でも、反Microsoft陣営の立場で盟友関係にあったといえる。ただ、その後もネットの分野の情勢は変遷しており、Linuxがネットの主流になっていったともいえる。


 Web2.0によるSaaSの流れではGoogleがリードし、クラウドの流れではAmazonが先行している。OracleやSunは、なかなかこの流れには見えてきていない。Oracleの会長は「クラウドのようなものは、とっくにOracleがやってきたこと」のようなコメントをして、ややずれていると思ったが、裏を返せば乗り遅れていることの証だろう。


 もっともネット時代に重要なものはデータベースであることに間違いはない。Oracleは無償のExpress版も出しているものの、やはり金持ち企業向けのデータベースシステム提供企業である。Sunのワークステーションも同様である。その意味ではエンタープライズ市場の独占化を強めるという意図があるだろう。ただし気になるのが、昨年Sunが買収したMySQLである。ソフトウェアの統合を目指すというOracleによって、MySQLOracle MySQLとなって、中小組織向けや個人向けのデータベースとなっていくのだろうか。Oracleにとっては、かつてはMySQLは中小市場をどんどん持って行かれる、オープンソースの頭の痛い存在だった。今回、Sunを買収したことによって、丸ごとそのMySQLを手中にしたことになる。そもそもExpress版を出した動機は、MySQLへの対抗上のことだったはずである。Oracleオープンソースというイメージがあまり結びつかないため、SQLデータベースの今後の方向がどうなっていくのかは、わかりにくくなったようである。


 もともとハードウェア企業を買収してもメリットはないと明言していたOracleであるから、今後Sunの何が残っていくのかといえば、MySQLは別にすれば、Javaくらいしかないのではないだろうか。Solarisすら本当に必要なのかどうか疑わしい。


 しかし、やはりITの世界では、思わぬことが突然のように起こった。3日前くらいまでの「IBMによるSun買収は・・」などという記事が滑稽でさえある。今回の買収は、これで1980年代後半から始まったワークステーション時代が完全に終焉したことを意味しているように思えてならない。