Microsoftが史上初の減益

 世界的な経済不況の影響はIT業界、そしてMicrosoftも例外ではなかったようで史上初の減益となったようだ。5000人ものリストラにともなうコストの影響とのことだが、今後はどうなっていくか。

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 もし今回のOracleのように、MicrosoftYahoo!買収に成功していたならば、決算はどうなっていたのかとも思える。Yahoo!買収話は金融危機前のことだっただけに、買収にかかった費用も入れると、もっと大きな減収となっていたかもしれない。アメリカ経済の低迷そのものに足を引っ張られたという面が大きいとはいえ、ではこの先は回復していくのか。とりあえずは来年も減速する見通しだが、Microsoftそのものがターニングポイントを迎えていると思える。


 経済不況を差し引いても、Vistaの導入が進まなかったこと、同様にOffice 2007の不評があった。これら2つが従来からMicrosoftの屋台骨を支えてきたことには違いない。これらが伸びなかった影響は、XPへのダウンロード権というまやかしのVista売り上げを計上したとしても、それなりにボディブローのようになっていると推測される。これらの状況を打破するには、もはや次期Windows 7頼みしかないというところだろう。ところが、もはやOSやオフィスソフトで大きな話題になるような時代ではない。


 一方、新規事業としては、クラウドAmazonGoogleに対抗したWindows Azureがある。簡単に言ってしまえば、MicrosotのGoogle Appsみたいなものだという。これが本当なら、MicrosoftもデスクトップからWebサービスに切り替わっていくことになる。ソフトウェアライセンス販売から有料オンラインサービスの体系に変わる。現時点では、それに対応するだけの、世界各地でのインフラ整備に投資していることになる。一種の巨大事業転換であり、投資費用も巨額であろう。


 しかしこうなると、必ずしもMicrosoftクラウドを選択する必要がなくなるのではないかと思われる。ネットが土俵ならば、Microsoftはむしろ後発に近い。そこで従来のような独占が可能になるとは思えない。あくまでもクラウドの中の1企業という位置づけである。そうなったときに従来のような利益を上げられるかどうかは疑問である。ある程度、規模を縮小した企業となっていくのかもしれない。