UNIX magazineが事実上休刊

 「Network magagine」と「UNIX magagine」が統合されて、事実上UNIX magazineは消滅する。1986年創刊だから、ちょうどワークステーション時代とともに始まった純UNIX系雑誌だった。何やらSunが買収されたことと時期が同じくなり、UNIX時代も終わったような印象を受ける。新装刊の「ASCII.technologies」の特集がWindows Azureとかで、もはやUNIXのイメージはない。

アスキー、「NETWORK magazine」「UNIX magazine」を統合(INTERNET Watch)

 他のPC関連雑誌も多く休刊になっているが、もう忘れてしまったり把握していないものも多くある。PCやネットの普及を推進してきた雑誌とみるならば、結果的にそれが紙雑誌の需要も奪ったことになるのだから皮肉なものである。紙メディア全体が斜陽になっている時代だから、PC関連雑誌も例外ではないのだろう。


 自分としては近年休刊になった思い入れのあった雑誌としては、Cマガジンインターネットマガジン、Try!PCあたりだろうか。そしてUNIX magagineとなるだろうか。さらに昔からあったものでは、月刊アスキーなどがあるが、PC黎明期からの雑誌というだけで、あまり思い入れはなかった。


 Cマガジン」はPC上でのC言語を広めたという意味で、自分もそこそこC言語を使えなければということで、ある時期は読んだものだ。時代とともにC++が加わり、Perlやら近年ではJavaも連載されたりして、雑誌タイトルとあまり一致しなくなった印象を受けたものだ。
 インターネットマガジン」はインターネットブームの黎明期をリードした雑誌で、発売日が待ち遠しかった記憶がある。インターネットに関するほとんど唯一の情報源だった。毎月のようにプロバイダの数が全国で増え始め、その情報でどんどん雑誌が分厚くなっていった。またネットツールのフリーソフトが数多く付録で付いていたのも魅力だった。インターネットに繋がること自体が、まだエキサイティングな時代だった。休刊前には、書店で表紙だけ見かけても、数あるネットの情報源に中に埋もれて本当に役割を終えたように思えた。


 そしてUNIX magagine」だが、UNIX時代の1つのあこがれでもあった。雑誌自体にあこがれていたというより、記事内容に対してだろうか。自分が当時ワークステーションを使える環境になかったから、実際やってみたくても手が出せなかったからである。それがコンプレックスのようになり、自分も使えるPCでUNIXを使えるようにはならないか、ということを追求した覚えがある。Linuxなどが出現する以前に、DOS/V機で動くMinixを入手したりしたのも、そうした動機だった。当時こんな議論をした。「PCでUNIXが使えるようになるという話がCマガジンにあったんだけど」「それはない。そんなことをしたらワークステーションの市場が潰れてしまう」。しかし、現在になってみれば、ワークステーションはSunの顛末の通りになり、純正のUNIXはなくなり、PCのUNIXクローンであるLinuxなどが生き残る結果になったわけである。そうして記事内容にあこがれを持っていた「UNIX magagine」もなくなる。バックナンバーのDVDが出るだろうから、記念にそれを入手するかもしれない。


 ついでに言えば、「UNIX USER」というFreeBSD主体の雑誌も「オープンソースマガジン」になり、やはり休刊となっている。「SUPER ASCII」というUNIX系雑誌もあったが、それはアスキーのゴタゴタの中でなくなったという印象だから、それはいいだろう。


 現在ときどき買うのはSoftware Design、日経Linuxくらいなものか。特集にもよるのだが、買いそこなうこともままある。書店でなんとなく手にとって立ち読みをしてみたいと思える雑誌がきわめて少なくなった。自分の歳のせいだけでもないだろう。紙ベースでなく、なんとかWebベースに移行しようとする雑誌もあるだろうが、そこにもまた数多くの情報源が存在するので、安定した読者を獲得するのは難しいところだろう。