Windows 7のXPモードはセキュリティより互換性

 GW入りで新型インフルエンザくらいしか大きな話題もないので、再びWindows 7のXPモードについて触れておくことにしよう。もはやWinows 7そのものが問題なのではなく、現状のXPやVistaの環境をどうしてくれるかということが重大な問題と思えるからである。Windows 7 RCの一般公開が5月5日からになっているから、このXPモードも試してみることができるのだろうか。

Windows 7のXPモードは「セキュリティより互換性」重視?(ITmedia)
Windows 7の「XPモード」とは MSが説明
Windows 7 RC、日本は5月7日一般公開「XPと同等かそれ以上に快適」

 Microsoftの説明によると、XPアプリの実行方法としては、Windows 7ネイティブ→XP互換モード→アプリ修正→XPモード
の順に推奨であるという。Windows 7で動作するのが最適というのは当たり前のこととして、やはりXPモードで動かすのは最悪のケースの場合でありそうだ。仮想環境で動かすXPモードはリソースを食い遅いすぎて実用にならないかもしれない。またそれ以外にも機能的制限が生じるようである。XPモードの前に「アプリの修正」を期待したり「予算不足でWindows 7用に作り直せない中小企業」向けと言及したり、なかなか苦しい言い訳にも聞こえる。予算不足の中小企業でも、Windows 7だけは入れてください(当然Office 2010も)ということだろうか。


 仮想化は現在の大きな流れとはいうものの、このXPモードは明らかに後ろ向きの対応のように見える。本当ならば、Windows 7こそLinuxベースの仮想環境の中で動かしたいところだが、仮想化できたとしてもパフォーマンス的に現実的ではないのだろうと想像すると、残念ではある。


 またXPモードにしたときのセキュリティの問題にしても、途中のVistaを飛ばしたところに問題があると指摘した。XPが出荷された2002年あたりは今とは全くセキュリティ事情が異なっていた。それを踏まえてセキュリティ対策で不便になったくらいガチガチに固めたのがVistaだった。Windows 7ではさらにそれが行き渡っているだろうから、そこにポカッとXPモードが入り込むと、そこだけが自由な大きなセキュリティホールのように目だってしまうことになるだろう。もともと自由さとセキュリティ対策は、二律背反に近いものであるからである。もっとも仮想化されているからセキィリティの破れの影響を受けるのは、XPモードの部分だけでWindows 7本体には及ばないということなのだろう。


 しかしそのセキュリティ対策を多少犠牲にしてでも、XPアプリを動かす必要があるのは、Vistaを飛ばした多くのユーザ企業の要求だからである。結局、Vistaから行ったMicrosoftセキュリティポリシー(あまり納得できるものではない)の徹底が、ユーザにはあまり受け入れられなかったことを意味しているように思えるのである。XPアプリのことはともかく、自分は新OSとしてはUbuntuの方の期待の方が大きい。やはりWindows 7は仮想化されたゲストOSにしたいものである。