あいまいになるネットブックとノートPCの境界

 海外記事なので、いまいち論旨がはっきりしないが、ネットブックとノートPCが購入者にとっては、ますますあいまいになっているという。すでに当然のことだと思っているが、直接的な印象としてはDellが発売しているネットブックと薄型ノートPCのスペックの違いがわからいということから来ているようである。マーケティング上、ネットブックとノートPCという用語を使い分けているだけだ、と批判したいのか、本当に混乱しているのかはわからないが、PCが日々進化してきて、もはやそのネーミングにそぐわなくなることなど、今に始まった話ではない。ただそのサイクルが速くなっているだけである。ちょっとした製品の歴史を知れば、なぜそうなったかは理解できるもので、初めから購入者をまやかして売りつけようとしているわけではない。そんなことを言い出せば、携帯電話とスマートフォンの違いは何なのだ、というのも同様の話になってしまう。

ネットブックとノートPCの違い--あいまいになる境界線(CNET Japan)

 マシンのスペックは時とともに変わってくるので、スペックでネットブックとノートPCを区別することはあまり意味がない。スクリーンのサイズ、CPUの種類、SSDの有無、スペック、重量など、いずれでも線引きできるものではない。もともとのコンセプトの違いが問題である。ノートPCはデスクトップアプリを利用するため、ネットブックは文字通りWebサービスの利用のため、そしてクラウドの端末としての位置づけを目指している。モバイル性が高いかとどうかより、ネットに対するアクセシビリティ、親和性がどれだけ強いかである。だからといって、ノートPCではネットにアクセスできないということではないし、ネットブックでデスクトップアプリが全く使えないというわけでもない。しかし主にWordやExcelでローカルで文書作成をする目的で、わざわざネットブックを優先して選ぶというものではない。ネットでのコミュニケーションを行うことが主であるのに、有償のデスクトップアプリがフル装備のノートPCを購入する必要もない。コンセプト、利用目的が違うものがハードウェアのスペックが似たようなものになってきたからといって、文句を言う筋合いでもないだろう。


 強いて言えばネットブックのコンセプトをあいまいにしたのは、退場寸前だったWindows XPを無理やりネットブックに押し込んだMicrosoftの戦略のせいであろう。Windowsが使えるならOfficeも、アプリがあるならハードディスクの容量も、と従来のノートPCのスペックに近づけさせたのが原因である。単に安価なノートPCだと思ってネットブックを購入した人/しようとする人が混乱することになったわけである。逆にそうした人を吸収しようと新たに出てきたのがDellの薄型ノートPCの製品であろう。


 もうすぐXP搭載のネットブックはなくなってWindows 7に代わり、LinuxとそのうちChrome OS搭載のネットブックという選択もできるようになって、ハードではない色分けが明確になるかもしれない。それにはクラウド市場も、さらに発展している必要があるだろう。