Windows 7の法人向け販売が開始

 Winodws 7の企業向け販売が9月1日から開始された。一般の販売開始は10月11日だから40日ほど早い。一方でWindows 7 RCを春にダウンロード開始させていて8月20日に終了している(プロダクトキーの入手は10月21日まで)。着々と段階を踏んでWindows 7のマーケティングを進めているようである。さて、Vistaの失敗を取り返すことができるのだろうか。

MS、Windows 7のボリュームライセンス提供を開始:7000万台の需要を見込む(CNET Japan)
Windows 7、法人向けに発売 早期導入は史上最多の163社(ITmedia)
Windows 7、米国でも企業向けに発売 90日間の無料トライアルも
Windows 7の法人向け販売がスタート、163社が早期導入を表明(日経トレンディネット)
XPからWindows 7への移行を急がなくてもよい5つの理由(COMPUTERWORLD.jp)

 Windows 7Vistaよりは導入は進むだろう。なぜならこれまでXPを使い続けて、Vistaは敬遠してきた企業が多くあり、PCのハード、ソフトともに入れ替え時期がすでに過ぎているからである。XP発売からすでに7年、PCのサイクルから考えればさすがにすでに限界である。自分もすでにXPはメインでは使わなくなった。仕方なくVistaを使っているものと、あとはLinuxに転用しているケースもある。


 企業ユースでは、あるタイミングで一斉に置き換わるケースが多い。多くは予算の関係とリース期限の時期もあり、年度初めに置き換わる場合が多いだろう。開発系はともかくとして、一般業務のユースでは環境が同じでないと混乱するだけだし、近年でいえばセキュリティの問題からも全体を統制する必要がある。各人ばらばらに職場にPCを持ち込んだり、勝手にソフトをインストールしたりするような時代ではない。個人では最新のスペックのPCやOS、ソフトを使っているからといって職場で同じように振舞うわけにはいかない。フリーソフト1つ導入するにしても、書面で申請してしかるべき部署の許可が必要になる。こういうケースが当然だから、PCを入れ替えたり、新しいOSを導入するのは手続き的にも大変である。技術的にはほとんど問題がなくてもである。Windows 7は1年以内に多くの組織で検討、導入されることになるだろう


 しかしMicrosoftは、それでVistaの挽回ができるというのは早計だろう。なぜならXPが導入された時代と、これからWindows 7を入れようかという時代の情勢は大きく変わってしまっている。以前のように、OSそのものの機能や魅力に期待して導入するというわけではない。強いて言えばWindows 7を導入するのは「やむなく」というところだろう。OSそのもので業務がなされるわけではないし、それまでの業務アプリケーションやデータとの関係がある。またWindowsで何かをやるというよりは、ネット環境でGoogleだったり、Windows LiveだったりYahoo!だったりのWebサービスを使うことの時間の方が多くなり、Windowsそのものはそれほど重要でなくなっているからである。一般業務ではOfficeの利用がWindowsとセットみたいなものだが、OfficeのためだけにWindows 7である必要もなくなっている。


 なぜWindows 7かといえば、PC周辺のデバイスとのスムースな接続、Vistaよりはパフォーマンス的にまし(予想)、セキュリティ面で新しいOSの方がよい、くらいの消極的な理由によるものだろう。OSなどはPCをネットにスムースに接続させてくれるための空気のような存在で十分なのである。Aeroのような無駄なお飾り的な機能は少なくともOSの機能としてはいらない。


 個人的にはXPしか入らなかったネットブック(メモリ1GBが上限)で、Windows 7がどれだけ動くかどうかに関心がある。ぼちぼちネット上にも報告があるが、自分でWindows 7 RCでやってみて、その上で正式なWindows 7の導入を検討したいと考えている。動いて当たり前の標準的スペックを持つデスクトップPCや通常のノートPC上でのパフォーマンスに関しては、ほとんど関心がない。非力とされるネットブックについては、来年以降Google Chrome OSが登場してくる。そのとき、ネットから見れば空気のような存在のOSの存在意義が、改めて問われてくるような気がするのである。