景気後退と国内サーバー市場

 今年の第2四半期国内サーバー市場も、だいぶ冷え込んだようだ。景気後退がIT分野にも例外なく影響を及ぼしていることの現われであるが、ネット普及の下支えをしているはずのサーバー市場も、ネットの熱さとは対照的にお寒い状況のようである。

景気後退が国内サーバー市場に深刻な影響(japan.internet.com)
2009年の国内サーバ市場、過去最大の落ち込みへ(CNET Japan)

 市場規模は200年以降、初めて1,000億円の大台を切っているそうである。サーバー含めたIT予算、投資の大幅な削減が相次いでいることになる。雇用がなくなっているわけだから、機械であるPCやサーバーの導入も減少していることである。台数的にはそれほど減っていないにしても、ここ何年かで市場のPCやサーバーの価格も大きく下落した。たとえ台数が増えたとしても、利益では減少していると考えられる。確かに大手のメーカー品でも、サーバーでが2万円を切るようなものもディスクレスだが)登場すると、そこまで安価に導入したものには高価なサーバーソフトは導入する気にはなれない。安価に導入した意味がなくなるからである。必然的にLinuxをはじめとしするオープンソースソフトウェアで固めることになる。あるいは、サーバーの新機種導入を見送り、旧機種にオープンソースソフトウェアを導入して延命させることになる。


 PCサーバーでさえも落ち込んでいるのだから、RISCマシンであるワークステーションや、IBMなどの旧態のメインフレームなどの落ち込みは推して知るべしというところだろう。SunがOracleにとうとう買収されたことがそれを象徴している。


 さて今後、徐々に景気が回復されていったにしても、どれだけサーバー市場が戻ってくるかは疑問が残るところである。少なくともハードウェアは2万円はともかく、64ビットが主流になっていったにしても、もはや大きく伸びるようにも思えない。サーバー機すら薄利多売になっているようにしか見えない。またWindows Serverというものが、サーバー市場ではどれほどを占めているものか。予算的には簡単にハードウェアの価格を上回ってしまいそうなので、どうしてもWindowsでなければという事情でない限り、少なくとも中小の組織では導入する意味はあまりなさそうである。というより、それがサーバー導入のための予算を決めてしまいかねないことになる。サーバー導入の目的は、Windows Serverを導入することではない。そう考えると、少なくともPCサーバー部門での落ち込みは、Windows Serverの不振が大きいのかもしれない。


 今後のサーバー市場を予測すれば、サーバーといっても従来のようなデータセンターなどに集中する本格的なサーバーのようなものではなくて、いろいろな機器に組み込まれたサーバーというものが広く薄く分布して普及するようになるだろう。少なくともサーバー本体のハードウェアは価格的にはクライアントPCと変わらなかったり、ネットブックより低価格のPCサーバーがあったりする。組み込み型サーバーも同様で、周辺機器を購入するのと変わらないからである。あるいは集中型サーバーは、クラウドサービスに置き換わっていくことになるから、これまでのサーバーへの投資は、クラウドにかかる経費へと解釈が変わっていくことになるかもしれない。そうなると、そもそも「サーバー市場」という言葉の境界が、通常のPCの販売、周辺機器の市場、クラウドの分野などとほやけてくることになるだろう。