PC販売は台数は伸びるが金額は減少

 PCの販売市場にも、ネットブックの普及が数になって現われている。2009年のPC市場は販売台数は増加したものの、売上高は減少するという結果になりそうである。

2009年のPC販売、台数は伸びるが金額は減少―Gartner予測(ITmedia)

 単純なPCの出荷台数だけで見れば前年比2.8%増だというが、PC売上高では前年比10.7%減にも及ぶという予測である。PCの平均価格が下落したことが直接的に影響している。またデスクトップPCの出荷台数は前年比9%減だが、モバイルPCは前年比15.4%増となる見込みだという。そしてこの傾向はWindows 7が登場した現在でも変わらず「Windows 7を導入するためにデスクトップPCを導入すること」も望めないだろうという予測である。


 少なくともコンシューマレベルで、PCを買うのだったらデスクトップPCかノートPCか、という選択の時代は終わったとみていいのかもしれない。以前は同じようなスペックを持ったPCであれば、デスクトップPCに比べてノートPCの方が高価だったので、ファーストマシンとしてはデスクトップPCを購入するというのが常識だった。一方でモバイルがきくノートPCは憧れみたいなところがあった。ところが現在ならば普通に買うならノートPC、特殊目的(サーバー用途を含む)ならデスクトップPCということになっているのではないか。


 デスクトップPCの価格も下がり続けたが、何といってもノートPCの下落が大きい。数年前まではそれでも20万円弱くらいが相場だったが、今では10万円を切るのも当たり前になっている。そしてこの価格破壊を引き起こしたのが未曾有の不況とネットブックの登場だろう。従来型ノートPCの価格もネットブックに引きずられて、下げざるをえなくなったということだろう。現在では5万円を切るのも普通になったネットブックだから、かつてノートPCが30万円近くした時代からすればネットブックはその1/5から1/6まで下がったことになる。出荷台数が増えるのは当然という気がする。やや自虐的に周囲に「この前、298でネットブックを買ったんだけど、昔29万8千円でノートPCを買ったこともあったような気がする。あれはいったい何だったんだろう」と冗談を言うこともある。


 それでもコンシューマは、破格の値のネットブックに従来ノートPCと同等あるいはそれ以上の機能を求めようとする。ネットブックのパフォーマンスやら画面が狭い、Officeが使いにくいなどの声を聞くと、つくづくそう思う。そんなことを言い出せば、古い人間としては、ではどうしてわざわざ使いにくいコストが高い携帯など使うんだということになる。今後はノートPCといえばネットブックが標準で、従来型PC(といっても価格も十分落ちているが)はハイエンドノートPCという位置づけになるのかもしれない。