Webを介して6.5Gbpsのデータ転送速度を達成

 TCPやHTTPは遅いというイメージを持っていたが、なんと工夫次第でこれほどの転送速度を持つことができるのかという事実が、「Supuercomputing 2009」で東大グループによって示されている。小型PCを用いて、Webを介した6.5Gbpsのデータ転送速度を達成したとされる。

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 システム価格は60万円程度ですべて市販品で構成されたものだそうで、普通に使っているPCと大して変わらない。OSにCentOS 5.3、WebサーバーにApache、WebブラウザはFirefoxということだから、自分のところのサーバーとほとんど同じである。最近、CentOS 5.4にしたくらいなものだ。


 それがFirefoxの改造と、Apacheから不要なオプションを除き、データ操作の最適化やバッファサイズの最適化などを施しただけで驚くべき転送速度を実現してしまった。HTTPは遅いからFTPを使うという時代ではないから、HTTPの高速化はGoogleがやろうとしているようにプロトコルそのものを取り替えないと不可能なことかと思われていた。


 しかしこの結果をみると、プロトコル以前の無駄や非効率が多かったということになる。まさにコロンブスの卵のようである。Webの時代にHTTPが速くなければどうしようもないのだが、事実上「Webしか使えない」となるとプロトコルも限られてしまう。ブラウザの工夫だけでも高速化できることを示したわけだ。ブラウザは最近JavaScriptの実行速度ばかりを競っているが、生のHTTPのままの転送の高速化を図ってほしいものである。


 これもスーパーコンピューティングのうちの話ならば、やはりスーパーコンピューティングは、今後アイデアを出すことに重要性が増してくるかもしれない。