学研の子ども向け付録つき雑誌が休刊

 学研といえば、雑誌の科学キットの付録というのが子どもの頃の記憶に刷り込まれている気がするが、とうとうその雑誌も休刊になるという。1946年と1956年創刊だから、裏を返せば半世紀以上、よくここまで続いてきたものだとも思える。その後の学研の雑誌で記憶があるといえば「ムー」だろうか。

学研の「学習」と「科学」が休刊(ITmedia)

 昔の雑誌は「月刊」というのが主流だった。その後、世の中がスピードアップされて「週刊」が普通になっていく。子ども向け雑誌にとって、小遣いのサイクルと同じで1ヶ月というのは「首を長くして待つ」期間だったように思う。その楽しみにして待つものの1つが、学研の科学学習の付録だった。内容についてはほとんど記憶に残っていないのだが、楽しみにして待っていたという記憶だけが学研の名前とともに残っている。ちょっとしたプラモデルを組み立てるような面白さのあるものや、確か「発芽セット」のような何かの種子が入っていて、水だけで発芽して根が出てくるようなものがあり、1ヶ月以上も楽しめるようなものもあった気がする。


 近年は理科系離れが言われるようになって久しいが、かつてはこの付録が理科系への関心を高める役割を担っていたのではないだろうか。近年のものは知らないが、割と素朴に科学の内容のしくみが解るようなアイデアの付録だったと思う。それが時代とともに、比較的ブラックボックス化した「高度な」付録になっていったかもしれない。しかし子どもにとっては、やはり「しくみ」がある程度わかって、なおかつ結果が不思議に思えるようなものがよかったのかもしれない。今はゲーム機、PCをはじめ、遊ぶものも学ぶものもブラックボックス化されているものがあふれていて、かえって興味や関心が続かないこともあるのではないだろうか。


 休刊になった理由が少子化による販売数の減少というのは、紙メディア全般が衰退している時代だからその影響がここまでという気もするが、それだけでなく、遊ぶものも少なかったある意味古き良き時代のアイデアだけが頼りの付録の楽しさが、ブラックボックス化されたゲームその他に取って代わられたとも言えるのかもしれない。そして現代では、子どもには科学への関心を引くことが難しくなっていることの表れでもあるのだろうか。