Google Docsが事実上ストレージサービスに

 徐々にアップデートを続けるGoogleWebサービスの中で、Google Docsにすべてのファイル形式のファイルがアップロード可能になるという。事実上これはストレージサービスとして使えることを意味する。

Google Docs、すべてのファイル形式をアップロード可能に(ITpro)
Google Docsにオンラインストレージ追加 1Gバイトまで..(ITmedia)
Upload your files and access them anywhere with Google Docs(Google Blog)

 以前からGoogleも純粋なストレージサービス(仮称GDrive)を始めるのではないかという話はあった。しかしGoogleも慎重なのか、独立したストレージサービスはこれまでも存在してこなかった。これまでYahoo!Briefcaseと、最近ではMicrosoftのSkyDriveが先行してきたといえる。特にSkyDriveは無条件で25GBまで使えるのだがら、実際のところ重宝している。それ以前はWebメールのサービスにファイル添付するなどの方法もあることはあったが、「メール容量無制限」とはいっても1メールあたりのサイズを考えれば、あまり現実的ではなかった。


 MicrosoftのSkyDriveはWebサービスで先行するGoogleに対抗するためのWindows Liveのサービスの一環ともいえるが、またそれにどうGoogleが対抗し返すかが注目されるところでもあった。これまで慎重だったことから、同じようなストレージサービス単独のWebサービスはしないのではないかという予想はしたが、直接的にはGoogle Docsに結びつけたようである。


 そこで容量制限が問題になるが、Google Docsファイルについては無制限、その他のファイル形式のものは最大1GBまで、1ファイルの最大容量は250MBだという。ただし有償の年間5ドルで20GBまで利用できるようになるという。今のところ微妙な設定である。確かに無償でほとんど無制限に使えるストレージだと、ネット上のゴミ箱にされかねない。一方でユーザにとってはファイルを紛失する危険性のあるリムーバルメディアでファイルを持ち歩かなくてもよいネット上のストレージサービスは魅力である。Gmailなどの圧倒的な登録ユーザを、Googleはどう誘導するつもりなのかが注目されるところだった。


 Google Docsに直接的に結びつけたのは、ユーザにGoogle Docsの編集機能は使わずとも、アップロードするごとに起動して意識させたいことと、今年Office 2010とともに登場するOffice Web Appsを意識してのことだろう。すでにMicrosoftはSkyDriveをOffice Web Appsに連携させることを表明している。アプリケーションもデータもネット上に置くことが前提としては当然といえば当然ではあるが、MicrosoftのSkyDrive→Office Web Appsに対して、GoogleGoogle DocsGoogleストレージという結びつけを行ったことになり、これでがっぷりと組み合った形である。Googleとしては実質的なGoogle Docsのユーザを増やすことにつなげたいし、Microsoftとしては従来のOfficeユーザを留めたい意味もあるだろう。またその先では、容量の大きさとWebアプリの高機能化が、それぞれのクラウドへのユーザの引込みへと繋がることになるだろう。ユーザとしては、特定ベンダーの熱狂的な支持者でもなければ、これらのサービスを横断的あるいは連携させて賢く利用するのが良いだろう。