GoogleがノートPCを全米の高校へ寄贈

 中国からの撤退報道など、このところ技術ばかりでなく、政治や社会との関わりの話題も多くなっている感のあるGoogleが、全米の高校にノートPCを5台ずつ寄贈するのだという。お金持ちの大企業の社会貢献ととれなくもないが、ちょっとその意図を深読みしてみよう。

グーグル、ノートPCを全米600以上の高校へ寄贈--理系教育促進のため(CNET Japan)

 アメリカといいっても多くの人種が暮らしていて、学校もそれこそピンキリであるだろう。教育環境の格差も日本の比ではないかもしれない。知識人でなくともPCやネットを使いこなして仕事や生活に活用できることは、もはや社会の常識とさえなっているだろう。そこでそうした社会に適合していくためには、学校の頃からPCやネットに慣れ親しんでいるべきだということになる。


 ところがGoogleがノートPCを寄贈しようとしている高校は、全米でもトップランクから選んでいるのだという。それも科学やテクノロジーの教育に成果を与えられるところを選別するという。ボランティア主義よりはエリート主義であるようで、Googleらしいといえばらしい。そして肝心なのはソフトウェアなのだが、Googleパックをインストールしてあるという。OSはWindowsかもしれないが、さすがにOfficeを入れはしないだろう。OSも今後はChrome OSにしたいところなのではないだろうか。


 この記事を見て、かつてのMicrosoftの教育機関へのOfficeの無償ライセンス提供のことを思い出した。「教育のため」は表向きだが、子供の頃から自社のソフトウェアに慣れ親しんでもらえば、大人になっても同じソフトウェアを使い続けてくれるという、長期的なユーザ獲得戦略だったように思う。これがGoogleパックに変われば、非Microsoft主義の、Google派、オープンソース主義の人たちが将来増えることにつながる、と考えているのではないだろうか。それも優秀な学校を卒業した人ほどということになる。


 WindowsであれOfficeであれ、現在定着してしまっているユーザに宗旨替えさせることはなかなか難しい。そうであればまだ色の付いていなくて将来のユーザを押さえておいた方がよいということになるだろう。そして特に理科系分野の方が、OfficeなどのMicrosoft系のソフトウェアに染まりにくいといえるかもしれない。そうして寄贈されたPCで勉強してきてGoogle信者となり、将来はGoogleの技術者になる人も出てくることが期待されることにもなるだろう。