Googleの中国撤退可能性の波紋が広がる

 Googleの中国撤退の可能性は、1企業の利害関係だけでなく、米国の他の企業および米国と中国の関係にも微妙な影響を与えそうだ。そんな中で、MicrosoftのバルマーCEOは早々とMicrosoftは中国から撤退しないと表明している。ここはGoogleとのライバル関係は関係ない話のはずだが、大丈夫なのだろうか。

米国政府、来週にも中国に文書を送付へ--グーグル中国が提起した問題で米報道(CNET Japan)
グーグルが示した中国撤退の可能性--方針決定を迫られる他のネット企業
「Microsoftは中国から撤退しない」とバルマーCEO(ITmedia)
Googleへのサイバー攻撃はIEの脆弱性を悪用―McAfeeが調査
MicrosoftがIEの脆弱性を報告 IE 6狙った攻撃も
Googleは撤退し百度はクラックされる─混迷する中国検索サイト事情

 ネットは国境を超えるとはいえ、実際に各国の中で事業を展開しようとすれば「郷に入りては郷に従え」とならざるをえない。企業としては名を捨てて実を取るしたたかな方針を取るところだろう。しかしGoogleはさすがに堪忍袋を尾が切れたようである。国家の検閲と、出所が怪しい執拗なサイバー攻撃に対してである。


 GoogleMicrosoftでは検索の普及度が異なるだけに、その深刻さが違うのかもしれない。「サイバー攻撃はいつものこと」と言っているバルマーCEOは、あまり状況を理解できていないのかもしれない。もしGoogleが撤退すれば、その分中国でのビジネスでMicrosoftの立場が有利になる、くらいにしか考えていないかもしれない。ただ、Googleへのサイバー攻撃にIE6の脆弱性を悪用したものもあるというのは皮肉なおまけではある。Microsoftが踏み台にされてGoogleに攻撃が仕掛けられたようなものだからである。


 ただ中国の検索エンジンの利用といえばGoogleではなく圧倒的にBaidu百度)である。日本に来ている中国人留学生が使っているのを見たことがある。見かけの作りはGoogle検索によく似ており日本語版もあるが、中国国内の情報を知りたいのではない限り、日本国内で使うことは稀だろう。試みに「Google 中国 撤退」で検索してみたら、

Google 検索 約  886,000 件
Yahoo! 検索 約 5,190,000 件
Bing 検索 約  322,000 件
Baidu 検索 約   47,600 件

という結果になって、ちょっと桁が違うようである。これにもし、何らかのフィルタがかかればと考えると、検索下位に来るであろう無名のブログの意見などがごっそり抜け落ちることになるかもしれない。実際当局が恐れるのは、検索上位に来る「取締り可能な」メディアの記事よりは、検索下位に来る圧倒的な数の庶民(人民)の声なのだろう。さて、本当にGoogleは中国から撤退することになるのだろうか。