UNIX関連訴訟が最終判決

 何度か取り上げてきた「UNIX裁判」がついに最終決着したという。もはや歴史的には過去のものとなった「狭義のUNIX」であるが、法的にも完全に終わったようである。結果はきわめて当たり前のものとなった。Linuxに過去の亡霊のようなものに縛られる可能性は、完全に消え去ったといえるだろう。

米SCOのLinux関連訴訟が遂に最終判決(ITpro)

 「狭義のUNIX」とはSCOが「権利」を持つUNIXのことだが、SCOがIBMを相手に訴訟を始めた後におかしな展開になっていく。そもそもSCOが持つUNIXの権利とは何だったのか。UNIX商標権を持っているのかと思いきや、権利を持つのはThe Open Groupだという。したがってThe Open Groupが認定したOSでなければUNIXとは名乗れないのだそうだ。もちろんLinuxはじめオープンソースのOSは、どこもその認定を必要とはしない。UNIXそのものを名乗らなければよいだけのことだからである。UNIXという冠を付けて有償OSで商売をしたかったメーカーは当てが外れたことだろう。


 ではUNIX著作権を所有しているのかと思いきや、こちらはNovellが所有したままであることが明らかになった。そのためSCOはそもそも訴訟の法的根拠を失ってしまうことになった。むしろ裁判になったから、そうした事実が明らかになるというSCOにとっては皮肉の結果となった。そしてNovell著作権侵害があるとしてLinuxを訴えることはない。自らSUSE Linuxを所有しているからである。


 そもそもオリジナルのUNIXを葬り去ることになった不毛の訴訟だったといえるだろう。時代はオープンソースのものを規制したり、独占したり、意のままにコントロールできるようなことではなくなっている。初めからオープンであることを宣言しているソフトウェアを訴えて規制しようとする発想がいかにも前近代的でさえある。


 UNIX/Linuxに関連する訴訟は決着をみたが、ネット時代にもまだ権利のからむ懸念は残されている。かつてのGIFファイル形式の特許をUNISYSが言い出したこともあったし、最近は動画のコーデックであるV8からWebMがH.264の特許技術が含まれているというクレームがある。そのことが動画コーデックの標準化を阻害する可能性もある。ユーザを味方に付けられなかったSCOの失敗を教訓として、オープンなものが標準化されるような時代となってほしいものだ。