NICT情報分析システム「WISDOM」

 Google検索に勝る検索システムは、現在では難しいチャレンジである。そもそも「検索」とは何かから考えな直さなければならない。それは検索結果をただ関連情報の「抽出結果」だけではなくて、何らかの「意味」を付加することであろうか。

「Google検索に欠けている情報を」Web上の評判や対立意見を抽出、NICT「WISDOM」(ITmedia)
NICT情報分析システム WISDOM

 知識情報的なものとしてはWolfram|Alphaがある。これは検索というよりは、あるキーワードに関連した知識のWeb情報を分析して自己完結的に示してしまうようなものである。Wikipediaにも似て、どこまでその知識が正しいのか適切なのかは、その結果だけからはユーザは判断できない。判断できるようなユーザはすでにそれに関連した知識を持ち合わせているといってよいだろう。全く知識が白紙の状態から、数少ないキーワードだけの手がかりからある程度体系だった知識を得るようにはできるのだろうか。それが意味論的な検索システムの目指すところといえる。昔から知識情報システムと言っていたようなものである(もっとも昔はすべてデータベースに情報が入っているという前提だったが)。


 「Google検索に欠けているもの情報」というより、Google検索はもともと知識を提供するものではない。知識を提供してくれる可能性のあるサイトのアドレスを紹介してくれるだけの、ネット上の「ハブ」を提供しているだけである。そしてそのサイトの情報は、順位付けはされるもののすべてフラットである。知識の重要性の順位でないことは明らかである。


 このWISDOMも結局はサイトの情報を紹介するものには違いないが、そのサイトをやや意味論的にカテゴリーに分類して提供している。テーマに対して「肯定的」か「否定的」か、専門性、原因や影響などといった意味ごとに分類している。Yahoo!検索のようなただのジャンル分けとも異なる。膨大な検索サイトの中から、いかに求める意味の近いサイトを選び出せるかという点では有効な場面も多いだろう。日本語サイトから始まったという点でも有意義でありそうである。


 WISDOMの使い方のビデオだけ置いておくことにしよう。



WISDOMの使い方