「あかつき」の金星軌道投入失敗

 「はやぶさ」の成功の記憶が新しかっただけに、今回の金星軌道に乗せるという「あかつき」も、ニュースになったときは成功を期待する人が多かったはずだ。なんとなく低迷する現在の日本のムードの中で 、「はやぶさ」の成功は、日本もまだ捨てたものではないという、数少ない希望のあるニュースだったからである。

「あかつき」金星軌道投入に失敗(ITmedia)
「あかつき」金星軌道投入、6年後に再チャレンジへ

 しかしそうは甘くはなかったようだ。金星近くで逆噴射によって減速して金星の周回軌道に乗せる試みは、今回は失敗に終わったようだ。なんらかの原因で逆噴射が予定よりも短時間に終わってしまったために、周回軌道に乗せることができずに、そのまま行き過ぎてしまったようだ。宇宙人やUFOにトラップされたわけではなかったようだ(笑)。


 そうして「あかつき」は、もう宇宙の彼方へと消えて行ったかと思いきや、そうではなく金星を追い越して太陽系の軌道に乗っているのである。金星よりも周回速度が幾分速いために最初は金星から離れていくが、6年後には再び太陽系の軌道上で金星に近づくのだという。したがって6年後に再びチャンスが訪れるのだという。ただし逆噴射にための燃料がどれだけ残っているか、電池の寿命が4年後くらいまでなどの困難が存在するという。しかし「はやぶさ」も幾多の困難を乗り越えて成功させたことを考えれば、再び困難を遂行可能に変えてほしいものだ。


 国の予算が250億円を投入されているプロジェクトだそうだから、今のご時勢ではすぐにJAXAそのものが「事業仕分け」の対象にされかねないだけに、やっぱり無理でしたでは済まされないだろう。6年後まで再び日本の科学技術の威信に関わる挑戦が続きそうだ。