Google eBooksは広告連動型メディアクラウドへ向かうか

 Google eBookstoreがオープンされたばかりだが、今後これがどういう影響を及ぼすことになるのか、アナリストが予測している。それは「広告連動型メディアクラウド」への道というものだ。

「Google eBooks」は広告連動型メディアクラウドへの道を開く(ITmedia)

 まず膨大な電子書籍を提供できるのは、いくら電子書籍が紙の書籍に対して物理的スペースを必要としないからといっても、クラウドがなせる業である。書籍のデータベースと検索システムを合わせ、現状でそれを提供できるのはGoogleAmazonくらいなものである。Amazonは紙の書籍の販売システムのベースがあり、Googleはブック検索から書籍の冒頭のページを紹介するシステムのベースがあった。


 そこにGoogleの広告を組み合わせれば、従来にないサービスが実現する可能性があるという。それは広告連動型の電子書籍サービスである。イメージとしてはGoogle検索で表示される広告のようなものである。あるいは週刊誌のページの中に入り込んでいる広告のようなイメージである。このモデルがうまくいくと、ユーザが電子書籍のページにアクセスすると広告主からGoogleに広告料が入り、それから出版社や著者に対価が支払われることになる。つまりユーザは電子書籍を無料で入手できるというわけである。


 これは民放テレビを視聴料なしで見ることができることができるモデルと同様である。書籍がメディア化することによって同じモデルが適用できることになるわけだ。ただ、紙の週刊誌などとは違って、その広告の内容は電子書籍にアクセスする度に変わっていくものであるだろう。これは検索広告と同様である。今後の電子書籍の膨大な需要を考えれば、巨大なマーケットであり、またしてもそれをGoogleが獲得しようとしているというわけである。Amazonはじめ電子書籍市場を狙う組織や団体にとっても、これは容易ならざることになる。


 またそれだけに留まらず、Google TVなどでテレビのような他のメディアとこのモデルが統合されていく可能性もある。いままで新聞、テレビ、週刊誌などと区別されてきたメディアがネットを通じてすべて統合される可能性すらある。Googleはそれらのマルチメディア化のハブの役割を果たすことになる。裏を返せば、首根っこを抑えてしまうということである。それらを可能にするのも、クラウドの存在という時代になるのかもしれない。