ネット活用の選挙運動の効果は

 参議院議員選挙まであと3週間となったが、政局とは別に今回から選挙運動にネットが解禁されたことが話題となっている。マスコミがさかんと報じる割には一般国民にとっては、何を今さらというところではないだろうか。

ビッグデータで“票読み”を 参院選、事実上スタート(ITmedia)
毎日新聞、立命館大と協力して“ネット選挙”分析..(INTERNET Watch)

 これまでは候補者にとって選挙公示以降は、ネットでの情報発信が禁じられていた。それまで毎日更新されていた政治家のブログやツイートがパタリと止まって、むしろ違和感を感じるところだったのではないか。


 最近はスマホのゲームアプリの画面の中にまで政党の広告が入り込むようになっている。選挙に全く関係のない場面にまで入り込むのは、ある意味うっとうしい。若い人への選挙への関心を高めることとは少々意味が違う気がする。もっとも候補者に関心がなければ、どうでもよいことであり、選挙前にポスティングされる選挙公報の方が煩わしいものだった。そういった無駄なポスティングや日中から住宅街に入り込んでスピーカーで投票のお願いを連呼されることが少なくなるのならば、ネット選挙運動にもメリットはあるかと思える。


 しかしおそらくそうはならずに、ネットの中が騒がしくなる一方だけのようにも思える。ネットでの選挙運動が企業の広告・宣伝と同じように捉えるのであれば、候補者は売り込みたいだけの商品と同様である。商品は消費者は購入したら実際手に取ってみられるものだから、それなりに慎重に検討するが、候補者は選挙さえ終わってしまえば有権者からは遠くに行ってしまうような存在である。あまり身近なところまで入り込んで宣伝はしてほしくないものである。


 ネット利用の選挙といってもブログの更新などは読みたい人だけが読めばよいが、twitterなどのソーシャルでリツイートしまくりなどはやめてほしいものである。自分が関心のあることが他人にも関心があるとは限らない。あくまで特定のコミュニティを組織してその中だけで活動をしてほしいものである。ネット選挙活動の選挙違反などはどういう形になるのだろうか。


 ネットでの選挙活動の影響力を一番気にしているのは既存のマスコミであるように思える。これまではマスコミが候補者の優勢、劣勢を事前に報じるものだから、それが投票行動に影響するようなこともしばしばあった。マスコミはその影響力が自分たちの矜持でもあったろう。そして往々にしてマスコミのアンケート調査の結果とネットの中での調査結果が異なることもあった。どちらの結果が正しいとは言わないが、マスコミの方が世論操作しようとしているのではないかと見える。ネットはそもそも一部の人間が世論操作しようとしたとしてもチャネルが多過ぎるので不可能なのである。インターネットの理念は「真の民主主義の道具」なのである。恣意的なマスコミがどうこう決めつけられるものはないだろう。