Googleが量子コンピュータのデモ?

 何度か自分のブログでも話題にしてきた量子コンピュータだが、Googleの研究者が世界初の商用量子コンピュータを使って画像認識のデモストレーションを行うという衝撃的な?ニュースが流れてきた。

グーグルの科学者、量子コンピュータを使ったデモを実施へ(CNET Japan)

えっ?量子コンピュータとは、そこまで進んでいたのか!?と驚かされるような内容である。画像認識はともかく、量子コンピュータのハードウェアはどうなっているのだろうか。シミュレータじゃないのだろうか。


 研究では実験段階でまだ10個くらいの量子しか制御できないのではなかったのか。それともベンチャーあたりで極秘に開発が進んでいて、すでに実用化の段階にさしかかっているとでもいうのだろうか。「他の科学者」らが疑問を呈するのもごく自然のような気もする。一般の人からすれば、そもそも量子コンピュータという言葉は聞いたことはあっても、未来のコンピュータというくらいの認識くらいしかないだけに、なおさらである。

 まるで昔の永久機関とか、最近ではアントニオ猪木眉唾の新型発電機の発表みたいである。まあ、Googleの研究者はみな学位を持っているほどの頭脳集団らしいので、まるきりインチキということはないだろうが、いったいどのようなものが出てくるのかは皆目見当がつかない。


 1990年代に、量子コンピュータのブレークスルーになるようなアルゴリズムが示されて量子コンピュータも市民権を持ったような感じだが、それ以前は夢物語みたいなもので、否定的な見通しを述べる人の方が、特に工学系の人では多かったと思う。


 記事によれば、量子コンピュータはFeynmanが提唱したとあるが、自分の記憶によればそれは違っていたと思う。Feynmanは応援団みたいなもので、量子コンピュータを考えるのは、否定的な意見を言う人に対しては、自分のような年寄りの研究者の道楽みたいなことだと言っていた。だが、物理を知っている人なら、Feynmanの洞察力の深さを知っている。Feynmanが支持した段階で、量子コンピュータは望みのあるものだと知った。それが20年前くらいの話である。


 実用化はいつになるかはわからないが、今になってみれば、やはりFeymanの洞察は正しかったと言える。まだまだ量子コンピュータは百家争鳴が続くだろうが、自分も今後の年寄りの道楽になれるように注目していきたいものだ。