加速器のブラックホールで地球消滅?

 欧州合同原子核研究所というより、Webの発祥の地といった方が一般には通りやすいCERN加速器による実験に反対を唱えている人がいる。それによれば、実験によって生成されたブラックホールに地球が飲み込まれて消滅する危険があるという。宇宙のブラックホールでなくて、人工的に生成した地球内でのブラックホールで地球消滅とは間抜けた話に思える。

「加速器で地球消滅」・米の元政府職員ら提訴(NIKKEI NET)

 実際にブラックホールを見たことのある人はいないわけで、天体観測からこれがブラックホールに違いないという間接的な推測があるのみである。理論上はもちろん、アインシュタイン一般相対性理論から予言されているものだ。ただブラックホールと現代の素粒子との関係は必ずしも解明されているともいえないのではないだろうか。難しすぎてよくわからない。


 ブラックホールは1点だから大きさは関係なさそうだが、エネルギーの大きさによって吸引力とか、ブラックホールの寿命が違うのだろう。仮に加速器の中でブラックホールを発生されたとしても、吸引力はごく微小で短時間で消滅するから、地球を飲み込む可能性はゼロだということなのだろう。


 ところがこの元軍人の元放射線安全担当官は、ブラックホール同士が連鎖的に融合したり、未知の物質が生成されて地球を壊滅させる可能性があるという。「そんなことはありえない」と一笑に付すことができるほどの理解も超えている。そもそも裁判で裁判官が判断できるものでもない。いや、他に訴えても相手にされないだろうが、裁判所なら相手にしてもらえるだろうという考えだったのかもしれない。


 仮にこの話が本当だとしても、地球温暖化などのようにじわじわと地球にダメージが来るより、ブラックホールに飲み込まれる方が一瞬のことなので、誰も何も苦しむこともないのでマシなのではないか、などと妄想してしまった。