クラウドデータベースが地に足を付ける
「クラウドデータベースが地に足を付け始める」と表現すればよいのだろうか。クラウドの今後の2009年以降に注目されるべきことである。Webも単に雲の上の出来事でなくて、しっかりと大地に根ざしたデータベースがあってこそということだろう。
2009年も加速するクラウドデータベース(ITmediaエンタープライズ) Cloud Databases May Gain Ground in 2009(eWEEK.com)
OracleやMicrosoftのようなデータベースベンダーがこの点で先行しているという。AmazonやGoogle、IBMはインフラを提供をしているが、そのクラウドの上で実際にWebアプリを開発をすることは、まだ始まったばかりである。なぜならWeb2.0の意味でCGM(Consumer Generated Media)を構成する際に必須となるデータベースをどうするかという問題がある。具体的にはMySQLだのPostgreSQLだの、お金持ちにはOracleだのSQL Serverだのがクラウド上ではどう運用できるかという問題である。いずれこれらのクラウド版というものが提供されてくることになるかもしれない。現状ではAmazonのSimpleDBなどがあるが、これは従来のリレーショナルデータベース(RDB)とは異なるものである。全くの新規開発の事業ならばまっさらなデータベースから始めてもよいだろうが、既存のデータベースをクラウドに移植しようとするときに問題になる。
似たような問題は、Web化が進んでデータのXML化が進んだとき、RDBへ格納する際にXMLからRDBへの変換が必要になることがある。XMLネイティブのデータベースも期待されたが、これも何が主流になるかまだわからない段階である。そのうちにデータベースのクラウド対応が必要とされる時代になってくるようである。もともとMySQLやPostgreSQLは単一サーバーでの運用を前提としていたはずで、複数のPostgreSQLのクラスター化する技術もあったと思うが、それはクラウドのものとはまた別のものであろう。
Web2.0が比較的すんなりと受け入れられたのは、実はこうしたPCサーバーのデータベースが容易にコストもかからずに構築できたことが大きかったと思う。何年か前にMySQLやPostgreSQLのようなフリーのサーバーに対抗するために、OracleやSQL SQL Server、DB/2がこぞってフリー版を公開してから、データベースの自由化が始まったようなものだったからである。
同じようにAmazonのクラウドのように環境を手に入れてクラウド対応のデータベースサーバーを自由にインストールできれば、多くの可能性が出てくることになる。ファイルシステムやストレージのように分散されたデータベースになるのかもしれず、移植性を考えれば、いわば「データベースの仮想化」も行われるのかもしれない。データベースのしくみが変化するということは、結局Webアプリの形態も変化することに繋がると思える。