Googleが仕掛けるのはWebメール戦争?

 1つ1つは単に小さな機能の追加だが、このところGmail周りの新機能の話題が多くなっている。Gmailが国内で公開されて、自由登録ができるようになったのが2006年秋頃だったと思うが、即日登録して使い出した記憶がある。表面的にはシンプルなイメージのGoogleのサービスだったが、Gmailもいろいろ賑やかになってきたものである。たとえば、白だけだった背景がコミック調のテーマが提供されたり(今は忍者のイラストのようなものに設定してある)、少しずつ新しいメニューが増えてきた。機能の追加とともに、Gmailの大衆化が進んできたという表れなのだろうか。

GoogleがYahoo!に仕掛ける「Webメール戦争」(ITmedia)
Google Calendarがオフラインでも利用可能に(ITmedia)
Gmailで複数の受信トレイを表示可能に(ITmedia)

 ごく最近加わった一番大きな機能はオフライン機能であり、すでに日本語版でも利用可能になっていた。ブラウザにプラグインのインストールが必要なので、ChromeGmailの設定メニューからオフライン機能を有効にしてインストールしてしてみた。約6ヶ月分のメールを、しばらくダウンロードしてキャッシュしておくようである。それが終わると「フレックス接続モードに切り替え」を選択できるようになる。一時的にLANケーブルを引き抜いてフレックス接続モードのままメール送信操作を行うと「送信トレイ」に送信待ちで入り、ネット接続が回復すると、送信待ちのメールが自動的に送られることになる。「フレックス接続モードを終了」で通常のオンライン状態に戻る。カレンダーについても同様にオフライン機能が加わるとのことである。オフラインでもリマインダの設定がスムースに行うことができるようになるのだろう。


 Gmailだけが進歩しているようだが、メール単独というよりGoogle Apps、さらにはクラウドサービスまで見越していることと思われる。サーバー機能がクラウドに移行してネット接続が切れるトラブルがあったとしても、クライアントの操作側はある一定の操作範囲内では、支障をきたさないことを可能にする。それによって本格的なクラウドへの移行の心理的不安を小さくすることができるということかもしれない。


 そういう意味では、GmailYahoo!Microsoftの方が一般ユーザ向けには先駆けだからとはいえ、Webメールで戦争を仕掛けているというのは、いささか偏狭な見方だろう。すでに戦場はWebメールのユーザ獲得ではなくクラウドにあるからである。クラウドサービスが発展したとき、プラットフォームであり、クラウドの入口になるのがGmailになるからであろう。対抗するのはYahoo!ではYahoo!Mailではなく、クラウドサービスであるYahoo!Zimbraであり、Microsoftは最近サービスを統合一新したWindows Liveである。クラウドの中ではメールの役割は従来よりも、むしろ小さくなっていくだろう。


 どのクラウドがユーザにとって都合がよいかは、サービストータルで見ていくことになるだろう。今のところ、Gmailが他のWebメールを追い落とすというよりも、すでにGoogleクラウドMicrosoftYahoo!が追いかけるという構図になっていることだろう。