Dellが250ドルを切るネットブック

 ついに250ドルを切るネットブックDellが発売、とやや衝撃的だが、そのスペックを見ると多くの人は失望するかもしれない。しかし、これこそネットブック本来の姿の主張だという気がするのである。

米Dell、250ドルを切るネットブック『Mini 9n』を発売(WIRED VISION)(PConline)
Dell Mini 9 now just $250(Boing Boing Gadgets)
Dell Netbook Display Better Than MacBook Pro(Wired Gadget Lab)

 初期のミニノートPCには、EeePCに対抗してCloudBookと名付けられた製品もあったが、名前の通り将来的にはクラウドに接続するクライアントという意味合いがあったのだと思う。すなわちアプリケーションはローカルHDDに置かず、ほとんどのことはWebサービスだけを利用して済むような使い方である。たとえば、Google AppsYahoo!その他ベンダーのWebサービスだけを使うということである。


 そして自分のデータを保存するにはストレージサービスを使う。古くからあったのはYahoo!Briefcaseだったが、今は探せばいろいろある。自分も使っているBox.netは、Briefcaseの広告から導かれたものだが上限1GBまで使える。そしてついにBriefcaseはサービス終了となった。そして現在は何といってもMicrosoftのSkyDriveの上限25GBで決まりである。

 そういう環境が用意されていれば、ローカルのPCは最低限ブラウザさえ使えればよい環境になるからOSもWindowsである必要さえなくなる。だからUbuntuのようなデスクトップLinuxが採用されてきたわけである。


 ところがMicrosoftネットブック市場に入り込みたいために、半ば強引に低スペックのネットブックWindowsを搭載させる。PCメーカーも価格の安いネットブックを大量に売り出したいためにWindows搭載モデルを出すようになる。Windows本来の使い方をしたいのなら、OfficeはじめWindowsアプリもいろいろとインストールしなければならない。そうなるとSSDでないHDDを装備した高性能、大容量のネットブックが必要とされる。かくして従来のノートPCとあまり差のないモデルが各社から出てしまうことになった。今度は従来のノートPCが価格的に売れないことになり、PCメーカーは自分で自分の首を絞めかねない事態になっているのが現状であろう。


 そんな中でこのDellネットブッククラウドと連携して使うべきものという本来の姿に立ち返らせるものと見ることもできるだろう。しかし単に低価格の従来型ノートPCを求める多くの人にとっては、何の役にも立たないマシンであるかもしれない。その前に使えるSaaS環境やクラウド環境の構築、シンクライアントとしてのネットブック利用の啓蒙などが必要になるからである。