Microsoftも HTML 5 仕様策定に着手

 ネット事業の建て直しをはかっているとされるMicrosoftだが、HTML5の仕様について、やっと重い腰を上げることになりそうとのことである。

MS、HTML 5仕様策定に本格着手(CNET Japan)
W3CがXHTML 2の策定打ち切りを決定、HTML 5の標準化に注力へ(COMPUTERWORLD.jp 7.3)

 どちらかといえば、HTML 5は、Microsoftを除くブラウザメーカーが中心に策定がなされてきたという。しかしW3Cと別に、WHATWGが発足してHTML 5の策定を進めるなど、実情はやや複雑なようである。


 突然、当初は予定されていなかったHTML 4の後継に当たるHTML 5が推進されることになり、それまでHTMLはXHTML 1.0から1.1、そして2.0へと進化していくものと思われていたのが、急に方針転換されることになった。そしてHTML 5とXHTML 2.0の2つが存在することになるのかと思いきや、先月W3CXHTML 2.0策定が打ち切られることが発表になった。今後はXHTMLの流れはHTML 5にオプションとして吸収されることになりそうである。


 方針転換の原因としては、XHMLが策定から約10年経った割には思った以上に普及しなかったことが挙げられる。自分のイメージとしてはHTMLは手動でのWebページ作成、XHTMLはWebアプリケーションでのWebページの自動生成用と割り切って分けて考えてはいた。ただ、やはり標準が2つあるのはいろいろと混乱を招きやすい。プログラミングと違って、明らかなエラーにはならないが、特に細かい部分の違いが1つのソースに混在して使われたりすると、後でページのメンテナンスで困ることになる。


 Microsoftとしては、.NETに移行した早い時期からXMLを推進していたこともあり、独自の立場でXHTMLを推進していたと思われる。それはそれで、Microsoft仕様であまり歓迎できるものではないが(Office Open XML Formatなどが典型)、HTML 5に対してはノータッチだったようだ。しかしCSSを含め、ブラウザのバージョンが進むにつれて、標準に対応しないようではすぐに弊害が現れる。XHTML 2.0策定が打ち切りになったここにきて、MicrosoftもようやくHTML 5を将来の標準として定めることになりそうである。


 それにしても、何でもXMLにするという話は、話の元になったHTMLの仕様から崩れてくるようなことになるのか。あるいはHTMLに特有の話なのか。ブラウザメーカーやWeb関連のソフトウェアに関わる思惑がありそうだが、拡張部分が増えることはともかくとして、基本的な部分、細かい文法があまりコロコロと変わるのは困ったものである。ちなみに、たとえばXHTMLでは空のタグでは、閉じを< ・・・/>と/を入れていたが、HTML 5ではどちらでも構わないという。つまりHTML 5では、最後の/の有無は文法的に判断しないのだという。だからといって、書いたり書かなかったりと中途半端では、非常に可読しにくいソースになるように思える。結局は、DTDをきちんと付けよという話なのだろうが、ブラウザの解釈にもよるだろうが、過去を引きずるあいまいさは、あまり生産性の上でもよくはない。もっとも、最大の問題はIEがどれだけ他のブラウザとWebページの解釈で互換性を保てるかである。何はともあれ、現時点ではシェアがトップのブラウザであることには違いないのだから、HTML 5の推進の鍵を握っているといっていいからである。