中村ノリが総スカン

 オリックス自由契約になった中村ノリにどの球団からも獲得の声が掛からず、その去就が宙に浮いている。ファンからではなく、球界内部からここまで総スカンにされると、むしろ気の毒に思えてくる。これではほとんど球界挙げてのイジメと同じことではないのか。
 通常の解雇であれば、シーズン終了後に来季の構想外とされて、選手も再就職や身の振りを考えることになるが、契約交渉が決裂しての自由契約、そしてどこも引き取り手なしという状況だ。かろうじてヤクルト古田とか日本ハムのヒルマン監督が興味を示しているそうだが、いずれも球団、経営者側から拒否されているようだ。
 これまでの言動やトラブルメーカーぶりから自業自得といえばそうなのだろうが、芸能人が所属事務所とトラブルを末、業界から仕事に干されるのと似ている。中村ノリといえば、その高年俸から近鉄を潰した張本人とも言われている。そうした経緯からオーナー陣の反感を食らい、どの球団も獲得しないようにと、事実上の回状が回っているのではないかとさえ言われる。プロ野球選手の身勝手、傍若無人ぶりは今に始まったわけでもなく、実力のある選手ほどそれが強烈な個性ともなっている。オレ流と言われるのは別に落合が初めてではない。昔の金田、広岡、江夏、野村、田淵、東尾、落合、最近では清原などもそうで、品行方正な選手が評価されるのも悪役になる選手がいればこそかもしれない。


 中村は、セの本塁打王が松井のときのパの本塁打王シドニー五輪では全日本の4番を張ったくらいの選手。犯罪でも起こしたのならともかく、能力のある選手を使いこなせないのは、むしろ経営者側の問題だろう。野球人気もどんどん下がっているのに、何も策を打てない旧態依然とした経営体質を象徴している出来事の1つであるようにも思える。