Ubuntu Linuxはブレイクするか

 安価なインターネットサーバーとして完全に地位を確立したLinuxだが、クライアント市場においては、まだまだWindowsに及ぶところではない。サーバー用途とクライアント用途では、ユーザーの層も異なるし無理もないと思われるが、ここにきてUbuntuの可能性が指摘されるようになってきた。

Ubuntu Linux、大ブレークの予感 (@IT)

 Ubuntuは実は自分もひそかに注目している一人である。ひそかにと言うのは、Linuxという言葉に対する反応はまずまずだが、なかなかウブンツ」と聞いてもハァ?という人が多いからである。Linuxディストリビューションの1つであることはわかってもらえるが、他のディストリビューションと比べて何がいいの?と、使ってみたことがない人ばかりだから仕方がない。自分もそれほど使っているという環境にはないのだが、一度触れてみてから一目ボレしたようなものだ。それに加えて、Google内部でも使われているという話がPythonの話と並んで食指が動く理由でもある


 それはともかく、LinuxといえばRedHatFedoraVineなどと触れてきたが、サーバー系は良いのだが、クライアントとしてのX-Windowやその日本語環境は「使えない」という印象である。Vineは日本人の有志が開発しているので、日本語環境はまあまあよいのだが、やはりRedhatFedoraの後追いのような感じで、日本ローカルの感も否めない。
 Ubuntuは新しいディストリビューションだが、動作にもキレがあり、国際的であり日本語の対応も早かったようだ。Linuxの流れが充実してきた時代であることを感じさせる。普通のクライアントとしても十分使えるレベルになってきたのではないかと感じさせる。


 しかし何より、最近の状況の変化である。Web2.0が言われだして、現在はデスクトップアプリよりもWebアプリのSaaSの時代になってきた。極端な話、OSが起動してネットに接続し、ブラウザが起動さえすれば、OSなど何でもよくなってきている。そんなとき、TCO削減だ、セキュリティの強化だなどと意味不明のことをのたまうのを聞いて、激重のWindows Vistaを入れなければならない必然性はもはや何もない。


 SaaSのサービスを受けるクライアントとして、そして何より無駄なソフトを入れずに徹底的にスリム化したシンクライアントとして、現状では最適の選択ではないかと考えるからである。事実、簡単にUSBメモリブートするUbuntuをインストールすることもできた。ちょっとしたアイデアで、安上がりのコストでセキュアなシステムを構成することもできそうだ。「Ubuntuってワープロが使えるの?」などという手合いは当面は相手にしなくてもよいが、機密情報だの個人情報保護だのというミッションクリティカルな問題を抱えているところには、よい選択になりそうである。自分もそういうことを提案しているのだが、やはり「ウブンツってなに??」で話が進まないのが実情ではある。