東芝がHD DVD撤退の報道

 Blu-rayに大きく傾き始めた次世代DVD規格について、一方のHD DVDの主役である東芝が撤退するという報道が、昨夜から今朝にかけてテレビのニュースで流れた。テレビ報道がネットより先になるのも、今時珍しい。それだけにテレビの誤報かフライングかとも思われるが、果たしてどうなのだろうか。

東芝、HD DVD撤退報道について声明(Impress Watch)
“東芝、HD DVD撤退で調整へ”報道を読み解く(ITmedia +D)
東芝撤退、HD買った人は? 規格戦争で消費者置き去り(産経新聞)

 一応「撤退」のテレビ報道を受けて東芝は声明を発表し、今後の事業の検討はしていくが撤退の決定をした事実はない、ということである。しかしもうこうした報道が大々的に出てしまうこと自体、もはや撤退決定は避けられない現実であることを意味しているのだろう。どこからリークされたのか、テレビ報道はいつもそうだが、情報のソースが明らかにされない。せいぜい「関係者の話によると・・」くらいで、じゃあ関係者とは誰と思ってもはっきりはしない。怪しげな評論家やアナリストの話かもしれないし、だからテレビはヤラセが問題になるのだろう。


 とはいえ、Blu-rayに決着するであろうことは年明けにワーナー・ホームビデオがBlu-rayを全面支持することを表明した時点で決まったといってもよい。その意味では、またしてもアメリカの外圧で決まったようなものだ。コンピュータやソフトウェア業界にとってはどちらでも大差はないが、映画やアニメなどの固定有料コンテンツ業界にとっては、再生できないビデオは売れないわけだから、どちらかに傾くのは当然であろう。よく言われるかつての「ベータ VS VHS」の規格争いの愚をまたくり返したことになる。


 今回は撤退を正式表明したわけではないということだが、テレビも「撤退を本格的に検討」という表現に微妙に変わっている。しかし、これだけ報道されれば撤退は既成事実化され、あとは影響のある各方面への「後始末の段取りを検討」する段階になるのだろう。現在のネットなどの流れを見れば、時間がたてば、あっという間に忘れ去られる規格争いだったということになりそうである。