ニュートンが世界の終末を予言

ノストラダムスの大予言」が21世紀になるとともに忘れ去られたと思ったら、今度はあのニュートンの予言が見つかったのだそうである。

6/19 世界の終末を2060年と予測!――聖書研究に没頭したニュートンの手記
「早ければ2060年に世界の終末」 ニュートンが予言

 ノストラダムスの本は1555年に初版だそうだから、ニュートンのはそれから150年後くらいの予言である。世界は1999年の終末から60年ほど延命?していることになる。

 ニュース性があるのは、いわゆる予言者とか宗教家ではなく、近代科学者と信じられているニュートンが記録していることだからだろう。ニュートン自身が予言したというより、旧約聖書を解読した内容ということのようだが、ニュートン自身も信じていたという可能性が大きい。


 最近の地球温暖化の問題、テロや核の問題、エネルギーや食糧、凶悪犯罪の多発など、21世紀になって、再び末世的思想がはびこってきそうではある。そこにあのニュートンがとなれば、科学的にどうこう言う前に、なんとなく信じたくなる気分にもさせられる。ニュートンの論法に従えば「特にそうはならないという理由も見い出せない」のである。


 ニュートンといえば、科学者であり、万有引力の発見をはじめ、多くの歴史に残る業績があるが、やはり最大のものは微分積分法であり、それを道具とした近代物理学の創始であると言った方がよい。その目的は近未来の物理的運動を「完全予測」することである。ニュートン微分方程式が完全に解ければ、それは世界の行く末が未来永劫にわたって予測できることになる(ラプラスの悪魔)。


 現代から見れば、たとえ方程式は立っても原理的に解くことは不可能なことが明らかだが、それくらいニュートンの科学的方法は正確なものと見られていたというイメージが強い。
 ところが、一般的にはあまり知られていないかもしれないが、ニュートン歴史に残る純科学的な業績のほとんどは20代でなされたことであり、以後はいろいろなことをやっていたらしく、錬金術の研究などもその1つである。

 そして晩年は、なんと「神の存在の証明」に没頭していたという。証明は完成していたかどうかは知らないが、宗教家と違って、どういうロジックで証明しようとしていたのかは興味深い。今回見つかった予言も、この晩年に没頭した神の存在の証明の一環なのではないかと思えた。


 しかしまた、巷のエセ予言者に「あのニュートンも科学的に述べていること」などと、自分の怪しげな説を都合よく強化するために利用されそうではある。