ネット利用は取り締まりよりも教育

 Yahoo!の調査によると子供のネット利用に関しては、保護者は国の取り締まりよりも教育によることを望んでいるという至極当然の意識が見られる。親と子供の関係も時代とともに変化しており、取り巻く環境も違ってきているわけだが、だからこそ親も一緒に勉強していくべきだということだろう。

「子どものネット利用、取り締まりより教育の充実を」―ヤフーが保護者に調査(ITmedia)

 ネット利用といっても、10年以上前だったら急速に普及してきていたインターネットの利用のことだけであった。当時の新聞の教育関連の特集の中で「子供にメールアドレスを与えるべきか否か」という議論が教育関係者によってなされていた記憶がある。いわく「学校のメールアドレスを与えて教育すべきだ」「フリーのメールアドレスがあるのだから学校は直接タッチせず、自由にやらせておけばよい」などの対立する意見もあった。携帯電話もまだ低学年齢層には普及しておらず、セキュリティ意識もなかった頃だから、今から見ると荒唐無稽の話も多かったと思われるが、コンピュータやネットに関連したことはいつもこうした状況である。今日の常識が何年後かには通用しなくなっている可能性が高い。


 それだけに教育の中では「これは絶対だ」ということをネットに関しては教えられない。現在の教材はあくまで今だけ通用するサンプルみたいなものだ。自分の父は、子供の頃に計算尺を使ってみせていた。スケールを動かすだけで計算ができてしまうのが不思議で仕方がなかった。現在では一般の人で使う人はほとんどいないと思われるが、今から考えてみるとアナログ計算機の典型だった。現在は使われないとはいえ「なぜ計算ができるのか」という問題意識を植え付けられたように思える。


 現在のコンピュータやネットに関しても、いずれ古ぼけたものに見られる時が来るだろう。そのとき、残るものは持ち続けられる問題意識であろう。確かに現在のネットは、自転車にしか乗れない人がいきなり高速道路に出るような危うさは存在する。だからといって、子供に高速道路そのものの存在を見せないようにするのは、社会教育としても正しい姿だとは思えない。特に携帯は大人よりも子供の方が先に行ってしまっているのかもしれないが、オーナーは親なのであり逆に教育の題材として新しい利用法も考えられるかもしれない。いずれにしろ親や教師も時代とともに、新しいことを学ばなければならないのは確かのようである。